一般的な発汗異常は、覚醒時の自覚する発汗過多（多汗症）と汗の出にくい（無汗症）ですが、寝汗は睡眠時に起こる自覚症状のない発汗です。肺炎や喘息又は心臓病の人の寝汗は除いて、一般的に寝汗は入眠直後と覚醒直前に発汗し、熟眠に入ると治まる。昼間の覚醒時に発汗しやすい人は、色白ぽっちゃり型の人が多いのに対して寝汗をかく人は、水分をあまり飲まない痩せ型で乾燥型の人が多い。これは昼間に大脳皮質やその下部中枢（間脳、視床下部、自律神経）の興奮・緊張から開放され発汗への抑制が低下するためなのです。

つまり寝汗の原因は、昼間のストレスが睡眠に入り、その興奮・緊張から開放された反動で発汗が起こるのです。普段から水分を摂らない人、摂ってもすぐお小水で出てしまう水分不足状態が体温を引き上げるためでもあるのです。中国医学ではこのことを気虚陽虚の自汗（多汗症）、血虚陰虚の盗汗（寝汗）と言います。

中国医学では肺や心臓などの特別な病気でなく、異常な寝汗を次の４つに分類し対処致します。

１．心血不足型；貧血傾向の人が心身の疲労から動悸や不眠を伴う。
２．陰虚内熱型；体内の水分不足状態による午後の微熱と手足のほてりを伴う。
３．脾虚湿阻型；冷たい物、脂っこい物の過食や飲酒などによる胃腸障害を伴う。
４．半表半裏型；風邪や気管支炎が治癒せず、体内に熱がこもっている状態。

それぞれの病態に合わせて主役となる処方に少量の清熱薬と安神薬を加えて対処します。